2014年12月24日

インターネットの恐怖

1990年頃のインターネット環境といえば、インターネット発祥の地アメリカのものでさえ、今では考えられないようなお粗末なものだった。

その頃アメリカの大学に留学していた私は、毎日山のように出される課題レポートの作成に追いまくられていた。
レポートはパソコンを使って仕上げるため、大学には50台程のコンピュータが整備されているラボがいくつもあった。
学生はここで夜通しレポートを作成するわけだ。

ここのパソコンはインターネットに接続されていたが、コンテンツは研究者の学術研究の成果発表ばかり。
もちろん検索エンジンなどはまだない。URLはページ制作者本人から口頭で教えてもらうのだ。

その日も私は相変わらずレポート作成に忙しかった。
簡単な夕食を済ませ、パソコンの前に座ってデスクトップに目を向けた。
すると、そのフレームに鉛筆でURLが書かれていた。
学生がメモ代わりにでもしたのだと思った。
少し気になったのと気分転換を兼ねて、私はそのURLをブラウザに入力した。

しばらくすると、信じられないページが立ち上がった。

そこには薄暗い部屋の床に血だらけで倒れている男の写真があった。
私は目をそむけ、吐き気さえ催した。

よく見ると、画像の下に文字が書かれている。
「A guy in Miami, aged around 30, Killed by me today」
(きょう私がマイアミで殺した30代の男)
殺人者が自らの犯罪を自慢するサイトだった。

これは決して見てはいけないものだったんじゃないのか。
我に返ると、すぐにパソコンの前を離れて一目散に寮へ帰った。
もちろんこのことは誰にも話さなかった。

翌朝、私は再度パソコンデスクに向かい、昨夜の出来事が何かの間違いであることを願って、同じURLを開いた。

そこには左乳房に大きなナイフが刺さった全裸の女性がいた。
口、鼻、耳から血が流れている。
「A bitch in Miami, aged around 30, Killed by me today」
(きょう私がマイアミで殺した30代の女)

「インターネットで犯人が殺人の画像を掲載しているんです!」
すぐに警察に相談した。
しかし、まだインターネットがあまり知られていない頃だ。
なかなか理解してもらえず、上手いとはいえない私の語学力のせいもあって、相手にしてもらえなかった。

私は説得をあきらめて再度パソコンに戻り、URLを入力してみた。
数時間前まであった画像はすでになくなっている。
その代わりに、私の住所と電話番号がメッセージとともに書かれていた。

「You are the next star on my Web.」
(君は私のサイトの次の主役だ)

私はすぐに航空チケットを手配し、2日後に帰国した。

あれからもう20年。インターネットは驚くほど進歩した。
もちろん、あの恐怖のURLを今も覚えている。
恐る恐る入力してみたが、現れるのはいつも「Not Find」の文字。
私はうまく逃げ切れたのだろうか。

posted by オカルト この世の不思議と謎 at 19:41 | 心霊 怖い話