2015年01月09日

危険な好奇心 6

と考えつつ、なぜが病院にいるのが怖く、早々に家路についた。


家に帰ってからも『中年女』=『清掃おばさん』の考えは払拭しきれなかった。
やはり気になる・・・
その日は眠りに落ちるまでその事ばかり考えていた。

次の日、『清掃おばさん』の事が気になり、俺はバイトを早めに切り上げ病院に行くことにした。
俺のバイト先からチャリで30分。
病院に着いたときには20時を回っていて面会時間も過ぎていた。
もう、『清掃おばさん』も帰っている事は明白だったが、臨時入口から病院に入り、とりあえず淳の病室に向かった。
こっそり淳の病室に入ると淳のベットはカーテンを閉めきってあった。
『寝たのか?』
と思い、そーっとカーテンを開けて隙間から中を覗いた。
『うわっ!』
淳が慌てて飛び起き、
『ビックリさせんなよ!』と言いながら、何かを枕の下に隠した。
淳はエロ本を熟読していたようだ。


俺は敢えてエロ本の事には触れずに
『暇だろーと思って来てやったんだよ!』と淳の肩を叩いた。
淳は少し気まずそうに
『おぅ!この時間暇なんだよ!ロビーでも行って茶でもしよか?』
と言った。
俺は車椅子をベットの横に持って来て、淳の両脇を抱え、淳を車椅子に乗せてやった。
淳が『ロビー一階だからナースに見つからんよーに行かんとな!』と小声で言った。
俺達はコソコソと、まるで泥棒の様に一階ロビーに向かった。
途中、何人かのナースに見つかりそうになる度、気配を消し、物陰に隠れ、やっとの思いでロビーに着いた。
昼間と違い、ロビーは真っ暗で、明かりといえば自販機と非常灯の明かりしかなく、淳が
『何か暗闇の中をお前とコソコソするの、あの夜を思い出すよなぁ。』と言った。
『そだな。何であの時、アイツの事を尾行しちまったんだろーな。。』
と俺が言うと淳は黙り込んだ。


俺は今日病院に来た理由、すなわち『清掃おばさん』の事について・・
淳に言おうと思ったが、躊躇していた。淳はこの先、1ヵ月近く此処に入院するのにそのような事を言うのは・・・と。
またあの時のように『原因不明のジンマシン』が出るかもしれない。
すると淳が
『お前、あのおばさんの事できたんじゃないのか?』と。
俺はとっさに
『え?何が?』ととぼけたが、淳は
『そーなんだろ?やっぱり似てる・・いや、【中年女】かもしれないんだろ?』と真顔で詰め寄って来た。
俺はその淳の迫力におされ『たしかに似てた・・雰囲気は全然違うけど・・似てる。』
淳はうつむき、『やっぱり。。。前にも電話で言ったけど。。。』と語り始めた。


淳は少し、声のトーンを下げ『俺が入院して二日目の夜、足と腰が痛くて痛くてなかなか眠れなかったんだ。
寝返りもうてないし、消灯時間だったし、仕方ないから、目つむって寝る努力をしていたんだ。
そして少し睡魔が襲ってきてウトウトし始めたとき、
【視線】
を感じたんだ。。。
見回りの看護婦だろうと思って無視してたんだけど、なんか、ハァ・・ハァ・・って息遣いが聞こえてきて・・
何だろう?隣の患者の寝息かなぁ?って思って薄目を開けてみたんだよ。。
そしたら俺のベットカーテンが3a程開いてて、その隙間から誰かが俺を見ていたんだ。。
その目は明らかに俺を見てニヤついてる目だったんだ。。
俺、恐くて恐くて、寝たふりしてたんだけど。。
そして、そのまま寝てたらしく、気付いたら朝だったんだ。
後から考えたんだ。
【あのニヤついた目】
どこかで見覚えが・・
そーなんだよ。『清掃おばさん』の目にそっくりだったんだよ!』

【ニヤついた目】

俺はその目を知っている!
『中年女』にそのニヤついた目付きで見つめられた事のある俺にはすぐに淳の言う光景が浮かんだ。
更に淳は話を続けた。
『それにあの清掃おばさん、ゴミ回収に来た時、ふと見ると、何かやたら目が合うんだ。。俺がパッと見ると、俺の事をやたら見ているんだ。。。
半ニヤけで。。。』

それを聞き、俺が抱いていた疑問、【中年女=清掃おばさん】は確信に変わった。
やっぱりそうなんだ。
社会復帰していたんだ!
缶コーヒーを握る手が少し震えた。決して寒いからでは無い。体が反応しているんだ。
『あの恐怖』を体が覚えているんだ。。


その時、
俺の後方から突如、光が照らされた。
『コラ!』
振り向くと、そこには見回りをしている看護婦が立っていた。
『ちょっと淳君!どこにもいないと思ったらこんなとこに!消灯時間過ぎてから勝手に出歩いちゃダメって言ってるでしょ!
それに、お友達も面会時間はとっくに過ぎてるでしょ!』
と、かなり怒っていた。
淳は『はいはい。。。んぢゃまた近いうちに来てくれよな!』
と看護婦に車椅子を押され病室に戻って行った。
『おぅ!とりあえず、気つけろよ!』と言った。
俺もとりあえず帰るか。。。と思い、入って来た急患用出入口に向かった。
それにしても夜の病院は気味が悪い。さっきまで『あの女』の話をしていたからか?と思って歩いていると。。。
ん?
廊下の先に誰かがいる。
あれは。。。

清掃おばさん。。?

いや、
『中年女』、、か、、?

『中年女』らしき女が何かしている。。。


間違いない!
『中年女』だ!
この先の出入口付近で何かしている!
俺はとっさに身を隠し、『中年女』の様子を伺った。
どうやら俺には気付かず、何かをしているようだ。。。
中腰の態勢で何かをしている。
俺は目を凝らし、しばらく観察を続けた。

何か大きな袋をゴソゴソし、もう一方に小分けしている?
尚も『中年女』はこちらに気付く様子も無く、必死で何かしている。

ひょっとして、病院内の収拾したゴミの分別をしているのか?(俺達の地元はゴミの分別がルールとなっている)

その時、後ろから
『ちょっと、まだいたの?私も遊びじゃないんだからいい加減にして!』と、さっきの看護婦が。
俺はドキッとし、
『あ、いや、帰ります!どーも・・・』
と言い、出入口に目をやると『中年女』はこちらに気付き、ジィーっとこちらを見ていた。


『全く!』看護婦はそう吐き捨て、再び見回りに行った。
いや、それどころでは無い!
『中年女』に見つかってしまった!
どうすればいい?
逃げるべきか?
先程の看護婦に助けを求めるべきか?
俺の頭はグルグル回転し始め、心臓は勢いを増しながら鼓動した。

俺は『中年女』から目を離せずにいると、『中年女』は俺から視線を外し、何事も無かったように再びゴミの分別作業をし始めた。
『え!?』
俺は躊躇した。その想定外の行動に。。俺の頭には
『襲い掛かってくる』
『俺を見続ける』
『俺を見、ニヤける』
と、相手が俺に関わる動向を見せると思っていたからである。
俺はしばらく突っ立ったまま、『中年女』を見ていたが、黙々とゴミの分別をしていて、俺のことなど気にしていないようだった。
『何かの作戦か?』
と疑ったが、俺の脳裏にもう一つの思考が浮かんだ。

【中年女≠清掃おばさやん】?

やはり、似ているだけで別人・・・?!


俺と淳が疑心暗鬼になりすぎていたのか?!やはり『中年女』とは赤の他人の別人なのか?
そう一人で俺が考えている間も、『その女』は黙々と仕事をしている。

俺は意を決して、出入口に歩き出した。すなわち『その女』の近くに。。。

少しずつ近づいてくるが相手は一向にこちらを見る気配が無い。しかし、俺は『その女』から目を離さず歩いた。。

あっという間に何事も無く、俺は『その女』の背後まで到達した。
女は一生懸命ゴミの分別をしている。手にはゴム手袋をハメて大量のゴミを『燃える』『燃えない』『ペットボトル』に分けていた。
その姿を見て、俺は『やはり別人か。。』
と思っていると、
『その女』はバッ!っとこちらを見て、
『大きくなったねぇ〜。』
と俺に話し掛けてきた。
俺は頭が真っ白になった。
【大きくなったねぇ?オオキクナッタネェ?】

この人は俺の過去を知っている??
この人、誰?
この人、『中年女』?
こいつ、やっぱり

posted by オカルト この世の不思議と謎 at 08:47 | 呪い 憑依体験談